歳を重ねると白髪が多く生えてきたり、頭全体が白髪の人は結構いるかと思います。とはいっても若い人でも白髪が生えてくる若白髪の人もいますが、白髪が多い人はやはり歳を重ねた人の方が多いですよね。
歳を重ねた人は白髪が多いのは確かですが、その理由に老化だと思われる方は多いかと思います。年を取ったらどうしても白髪が生えてくるもの、という意見は特に変な意見ではないですよね。老化現象、と言ってしまえば簡単ですが、ではなぜ老化により白髪が生えてくると言われているのでしょうか。
またその逆で、いくら歳を重ねても黒い髪の毛ばかりがたくさん生えていて黒々している、白髪はほとんど生えていない人もいます。この違いはいったい何なのでしょうか?
そこで、老化が進むとなぜ白髪が生えてくるのか、また、いくら歳を重ねても髪が黒々で白髪がほとんど生えていない人がいるのか、その理由について調べてみました。
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【疑問①】老化が進むとなぜ白髪が生えてくるの?
【理由①】髪を黒くする組織の機能の衰えて(低下して)くるため
老化が進むことで、身体の色々な組織の活動が衰えてきます。なので、今まで活動していた体のあらゆる組織の機能が低下してきてしまいます。それは髪を黒くするよう働いていた機能も例外ではありません。
まずは年齢を重ねていくことで身体のすべての組織が衰えていくことをまずは理解したうえで、なぜ老化が進むと白髪が生えてくるのかを説明してきます。
次に、そもそもなぜ白髪が生えてくるのかを理解する必要があります。髪が黒い理由は次の通りです。
【髪が黒い理由】メラノサイトという色素細胞が髪に色を付けている
そもそも髪が作られた直後は色が付いていないんです。つまり白。最初は白髪なんです。ではなぜ最初は白髪なのに黒髪が生えてくるのかと言うと、白髪に黒い色を付けてくれている細胞が存在に秘密があります。
その細胞とは「メラノサイト」と呼ばれる細胞です。この「メラノサイト」という細胞の働きにより、髪は白髪から黒髪へと変わりそのまま伸びてくるわけなんですね。
なので、髪が黒い状態で生えてくるためには、この髪を黒くするための細胞である「メラノサイト」が存在が無くてならないわけです。仕組みとしては、髪を黒くする栄養素を「メラノサイト」が受け取り、メラニン色素を作ります。そして、このメラニン色素を白髪に入れることで白髪が黒髪になります。
ざっくり言ってしまうと、「メラノサイト」が正常に働けば髪は黒くなりますし、逆に「メラノサイト」の働きが鈍くなったり停止したり、最悪「メラノサイト」自体が死滅してしまうと髪は黒くならず、白髪のまま生えてきます。(髪に色を付けてくれる存在がいないわけですからね)
この「メラノサイト」の働きが何かしらの原因で無くなってしまえば白髪のまま生えてくるわけですが、老化が進むと「メラノサイト」の活動や「メラノサイト」の数にも影響が出てきます。
ちなみに、「メラノサイト」という細胞は自分では増えていくことはありません。細胞と聞くと自分で増えていくイメージがありますが、「メラノサイト」は自己増殖する機能が無いんです。
ただし、この「メラノサイト」を補うために必要な細胞があり、それが「色素幹細胞」です。研究によるとこの「色素幹細胞」が「メラノサイト」を生み出すことが分かっています。
「メラノサイト」自体は自分では増えないけど、「色素幹細胞」から「メラノサイト」が作られる、簡単にいうとこういった仕組みで「メラノサイト」の数が調整されます。
ですが、この「色素幹細胞」の活動が正常に行われれば良いですが、やはり年齢を重ねることで老化が進むと「色素幹細胞」も衰えていき、「メラノサイト」の数も十分に増えず減少していけば、髪に色を付ける「メラノサイト」の働きが期待できず髪が白いままとなってしまいます。
【理由②】メラニン色素を作るのに必要な栄養素が不足しているため
メラニン色素は髪を黒くするための大事な色素ですが、材料となる栄養素の供給が不足すれば当然メラニン色素を作ることが出来なくなります。メラニン色素に必要な材料はチロシンと呼ばれるアミノ酸の一つです。
このチロシンをメラノサイトがチロシナーゼという酸化酵素によってメラニン色素に変えます。そしてこのチロシナーゼには銅が含まれるのですが、この銅が無いとチロシナーゼは正常に働かないという特徴があります。
なので、チロシンと銅がメラニン色素を作るのに必要不可欠なのですが、これらの原料が体内に不足してしまうとやはり黒髪ではなく白髪のまま生えてきてしまいます。老化により大事な栄養素が不足してしまうことが白髪が生えてきてしまう原因となってしまいます。
【疑問②】なぜいくら歳を重ねても白髪がほとんど生えていない人がいるの?
なぜいくら歳を重ねても白髪がほとんど生えていない人がいるのかというと、「色素幹細胞」や「メラノサイト」が衰えていなかったり、数が減っていないからだと言えます。老化と言っても人によって何歳からというのはバラバラです。何歳になっても体が若々しい人はいますし、年齢よりも老けている人もいます。
老化が始まるのは50歳?60歳?70歳?それとも40歳?いったい何歳からなのでしょうか?それは人によって様々です。何歳だから老化が始まっていると決めつけることはできません。いつまでも若々しい人はいますし、逆に年齢よりも老けている人はいます。
なので、かなり年齢を重ねていても細胞自体は衰えが無かったり、細胞の数が十分残っている、と言う人なら髪を黒くする活動が正常に行われます。
なので、何歳から「色素幹細胞」や「メラノサイト」が衰えてくる、数が減ってくるとは言えず、何歳でも髪が黒いままの人はいます。だからこそ、いくら歳を重ねても白髪がほとんど生えていない人がいるというわけなんですね。
いくら年齢を重ねたとしても、生えている白髪が老化によるものとは限らない
歳を重ねた人が、あれ?この白髪って老化が原因かな?と思ったとしても、実はそれが老化が原因で生えてきているとは限りません。なぜなら、老化以外にも白髪が生えくることがあるからです。
年齢を重ねた恒例の方でも「色素幹細胞」や「メラノサイト」の活動が正常だったり、数が減少していない人はいるので、その生えている白髪はもしかすると老化以外の原因によるものかもしれません。
では老化以外に白髪以外に生えてくる原因にはどんなものがあるのでしょうか?
【老化以外に白髪が生えてくる原因①】栄養不足
栄養が不足している人は白髪が生えてきやすくなる可能性があります。というのも、「色素幹細胞」や「メラノサイト」に必要な栄養素(ミネラルをはじめ、アミノ酸、ビタミンなど)が不足すると、活動が鈍くなったり機能が低下してしまいます。
特にダイエットや偏食気味な生活を送っていると、必要な様々な栄養素が不足し、「色素幹細胞」や「メラノサイト」に必要な栄養素も不足してしまいます。なので、「色素幹細胞」や「メラノサイト」に必要な栄養素が不足しないよう無理なダイエットのし過ぎや偏食した食生活を送らないよう気を付ける必要があります。
また、栄養不足が原因で血行不足となる場合があります。血行不足はメラノサイトの働きが悪くなる理由の一つと考えられているため、栄養不足は白髪の原因となります。必要な栄養素を正しく摂ることで、「色素幹細胞」や「メラノサイト」の活動の改善がみられる可能性があります。
【老化以外に白髪が生えてくる原因②】ストレスを多く抱えている人
ストレスを多く抱えてしまうことが白髪が生えてくる原因につながるかもしれません。その理由は、ストレスのある生活を送っていると血行不良を引き起こしかねないからです。ストレスを感じると体が緊張状態になり血管が収縮した状態が続きます。なので、血流が妨げられて血流が悪くなります。
血流が妨げられて血流が悪くなることで血行不良を起こしてしまうため、ストレスは髪にとって良くないことが分かります。ストレスを感じない生活を送るのは非常に難しいですが、出来るだけストレスを感じない生活を送ることで血行不良を和らげることが出来ます。
【老化以外に白髪が生えてくる原因③】遺伝
白髪が生えてくるのに遺伝も関係があります。若い人の白髪(若白髪)が生えてくるのも、この遺伝が関係していると言われています。親に白髪が多いと、その子供も白髪が生えやすくなる、と言った話を聞いたことがある人はいるのではないでしょうか。
ただし、白髪も遺伝するかはまだ解明されていないこともあるので、今生えている白髪が遺伝であるとは言い切れません。
ですが、確かに体質やカラダの一部など親に子は似る部分もあるため、髪の性質や色など似てくる場合はあるかもしれません。白髪の生え方も同様に似てくるのではないかと言われますしね。あくまで「可能性」として捉えておくと良いと思います。
【老化以外に白髪が生えてくる原因④】不規則な生活
不規則な生活を繰り返している人も白髪の原因となる可能性があります。たとえば、睡眠不足は血行不良の原因なるので、血行不良を引き起こしかねません。体内の血液は深夜の時間帯(23時から3時くらい)に作られると言われており、その時間にしっかり寝ていなければ十分に血液が作られず血流不足を引き起こしてしまう場合があります。
ですが、その血液作られる時間に起きるような生活を送ることで睡眠不足になると血流が悪くなるので、頭皮の血行不良を引き起こす原因となる場合があります。なので、どうしても起きてなければいけない理由がない限り、夜はしっかり寝るよう心がけましょう。
【老化以外に白髪が生えてくる原因⑤】初潮・妊娠・出産・閉経などによる体調の変化
初潮・妊娠・出産・閉経などを経験すると、体調が変化して血流の影響を与える可能性があります。初潮の頃は、メラノサイトへの血液や栄養が不足して白髪になることがあります。また、妊娠中はお腹の赤ちゃんに栄養分を与えていますし、出産時はおっぱいをあげたりすることで、女性のからだはどうしても栄養不足になりがちです。
閉経時も、ホルモンバランスが乱れやすく、「エストロゲン」という女性ホルモンが減少することでメラニン色素を作るメラノサイトという細胞の機能が低下してしまいます。以上のように、女性が経験するような体調の変化により、白髪が生えてきたり、白髪が増えてしまうといったことが起きてしまいます。
【老化以外に白髪が生えてくる原因⑥】病気による体調の変化
何らかの病気・疾患にかかってしまうことで、代謝機能が低下を引き起こし、白髪が増えることがあります。直接的な影響によるものではないかもしれませんが、頭皮の血行不良が起きて白髪が増えてしまう可能性はあります。
年齢を重ねた人も、老化だと思って諦めるのは早いです
ここまでで白髪が生えてくる理由が老化以外についてご説明しましたが、今生えている白髪が老化によるものなのか特定することはできません。なぜなら、そもそも白髪が生えている理由には先ほどご説明した様々な原因のいずれかによるものだからです。もしかすると老化かもしれないですし、必要な栄養が不足しているかもしれないですし、ストレスによるものかもしれないですし・・・。
白髪の悩ましいところは、白髪が生えてくる原因がはっきり特定できない点です。いくつか理由は考えられるけど、はっきりこの理由であなたは白髪が生えているんですと特定が出来ません。特定する方法が現在無いんですね。なので、「年齢が高齢=老化が原因」とははっきり言えないんです。
なので、白髪をなんとかしたいのであれば、栄養をしっかり摂る、ストレスを溜めないといった普段の生活を見直して改善するか、白髪染めするしかないわけです。
まだまだ分からないことが多い白髪。白髪が生えてこない、黒髪が生えてくるといった特効薬や治療方法は今もまだ存在しません。なので繰り返しになりますが、普段の生活を改善するか、白髪染めをするようにしましょう。
最後に
老化が進むと白髪が生えてくるのは髪を染めるよう活動している「メラノサイト」の衰えや数が減ってくるためです。また、髪の色の元であるメラニン色素に必要な栄養素が不足してしまうことが考えられます。人は必ず体すべてに衰えが出てくるもの。それは髪を黒くする活動も同じことが言えます。
また、高齢の方でも髪が黒い方は髪を染める活動がまだ十分に機能しているからです。人によって活動が衰えるかどうかには個人差があるんですね。もし衰えが出てきてしまえば白髪が増えてしまうのは避けられないため、白髪染めをするのが一番良い選択です。
黒髪にしたい人は出来るだけ髪やお肌に優しい白髪染めがおススメです。ただし、白髪が似合う人もいるのも確かです。なので、あえて白髪のままにしておくのも一つの選択肢です。染めるのか、そのまま白髪のままにするのか、自分に合った選択をされると良いです。